コロナにより経営難に直面した方々への支援の輪が、SNSで広がっています。
生鮮食品・植物・花等を廃棄処分から救うため、全国にスピーディに販売するサイトがあり、私も利用してみました。
普段自分では購入しないような食材で料理にチャレンジしたり、植物やお花が届いて豊かな気持ちになったり・・・
こんな異常事態なのに、私はむしろ、普段では味わえないような喜びや豊かさを、たくさん味わわせて頂きました。
何より、SNSを通じて見える、生産者・経営者の方々の在り方に刺激を受けました。
経営難に陥っていても、商品を紹介する彼らの顔は、笑顔にあふれていました。
心を込めて作った商品への誇りや愛情が伝わってきました。
届いた箱を開けると、メッセージカードや詳細な商品の説明書などから、購入者への配慮や感謝が、商品と共に溢れだしてきました。
今この事態でも、喜んで仕事をしている様子に、こちらが勇気づけられました。
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ヴィクトール・フランクル氏をご存知の方は、少なくないと思います。
オーストリアの精神科医であり心理学者で、ナチス強制収容所での体験をもとにした「夜と霧」という世界的名著を残しています。
彼は、人間が実現できる価値は3つに分類できる、としています。
「創造価値」、「体験価値」、そして「態度価値」です。
「創造価値」は、人間が行動したり創り出したりすることにより実現する価値です。
目標達成、成果などビジネスにおいてよく登場するものは、これにあたります。
「体験価値」は、人間が何かを体験することで実現する価値です。
私がSNSを通じて食材やお花を購入し、豊かな気持ちを味わったというのは、これにあたります。
そして「態度価値」。
これは、人間が自分の境遇や運命を受け止める態度を自ら選ぶことによって実現される価値、としています。
言い換えると、「こういう状態でありたい」と願う、【自分が選ぶ態度やあり方】により実現する価値です。
コロナによる影響を被ったとき、私たちは、政府を責める、自分の得を最優先する、という態度も選択できる。
一方で、他人と分かち合う、今の生活を120%楽しむ、という態度も選択できる、ということです。
フランクルは、例え強制収容所に囚われる身であっても、身体以外の全てを失っても、人間は最後まで自分の在り方を選ぶ自由を持っている、といい、体験をもって証明しました。
その選択権を使って選んだ態度によって実現する価値が「態度価値」ということなのです。
私がSNSを通じて接した生産者・経営者の皆様は、苦境に立たされる中でも、喜んで仕事するという態度を選んだ方々だと言えるでしょう。
重要なのは、選ぶ態度の良しあしよりも、選ぶ自由を持っている、と自覚する点です。
歴史を振り返っても、自由のために、多くの命を犠牲にする戦争さえ幾度となく起こしてきた人間。
自由は、人にとって命と引き換えてでも手にいれたい、大事な権利だと言えます。
自由があると自覚することは、我々に考える意欲や行動するエネルギーを与えてくれるものです。
景気がこんなに悪化して、市場が冷えている中での、経済活動再開です。
これからは、コロナと隣り合わせにありながら、この半年で失った分まで背負ってのスタートです。
そのような中で、「態度価値」は、一人一人にとっても組織にとっても、大きなエネルギー源になると、私は思います。
従来の、
「イノベーションを起こすぞ!」(創造価値)
「より豊かで幸せな未来を!」(体験価値)
といった未来の果実だけではなく、いつでも自分が選択できる態度価値は、「今ここ」で手に入るエネルギーになってくれるでしょう。
感謝の気持ちを感じよう
相手に耳を傾けよう
大切な人を今ここで想ってみよう
いつでも、ありたい状態が作れる素晴らしい方法ですよね。
一人一人が、自分の態度はいつでも選ぶ自由を持っていることを忘れないでいること。
これにより、短期で成果がでなくても、うっかり「無力感」「被害者意識」に陥らなくてすむでしょう。
組織でも、「我々のチームは、こういう状態でいよう」と今ここで選べる自由があることをしっかり共有していれば、自家発電装置を持っているようなものですね。
昨日も、定期便のお花が届きました。
生産者の方に、また豊かな時間を頂いています。