2020.04.20

広げよう、Giverの輪!

『サピエンス全史』の著者、ユヴァル・ノア・ハラリ氏がTIME誌に記事を寄稿されました。

世界でCOVID-19に対峙するにあたっての、彼のメッセージです。

彼の主張は、COVID-19の広がりをグローバル化のせいする主張、
感染爆発を防ぐには脱グローバル化である、とする主張に異を唱えるものでした。

むしろ今、世界が一つになって、情報や知恵と経験を提供しあう協力関係こそが、感染症に対峙する人間のやるべきことだとしています。

国を超えて医師や企業が協力し合い、新薬の開発等に力を尽くすような動きがおこっています。

そういう動きこそ、ウィルスに対抗する有効な手段だということと理解しました。

どうすれば、このような協力関係をより早く、より広く浸透させることができるのでしょうか。

組織心理学者のAdam Grant氏は、組織でパフォーマンスを上げる人の特性を興味深い視点で、調査しています。(※)

組織の人の、行動の動機は次の3つに分けられるといいます。

いつも「私はあなたに/この場に何ができるか」と考える人 ⇒ Giver

いつも利己的で、「私に何をしてくれるんだ」と考える人 ⇒ Taker

その両方を使い分ける人 ⇒ Matcher

組織に最も多いのはMatcherで、約半数がここに属するといいます。
彼らは、「こうしてくれたら」「私もしてあげる」というGiverとTakerの顔を使い分けながら生き延びている人たちです。

これらの人たちの仕事のパフォーマンスを比較したすると、生産性が低いゾーンに最も多かったのはGiverという結果でした。
人や場への貢献ばかりを優先して、周囲のTakerにうまく使われ一人仕事を抱え込んでしまうからです。

では、最も生産性が高いゾーンには、どのタイプが多かったでしょう?

実は、これもGiverでした。

GiverがGiverとつながることで、互いへの貢献が積み重なり、関係性がよくなり、協力関係が築かれ、仕事がスムーズに流れる・・・
そういう好循環でチーム全体がよくなる、というのです。

今世界で起こっていることにも、Grant氏の調査や理論をあてはめて考えられそうなところもありそうです。

他国を非難したり、情報を十分出さなかったり、Takerに違いないリーダーも実在します。

一方、医師団や、民間の知識人が構築するネットワークや活動は、患者さんのために、
いち早い新薬開発のためにというところに向けたGiverのマインドのGiverの好循環の動きを持っているように思えます。

GiverがGiverの能力発揮をしやすい環境づくりの条件を、Grant氏は3つ挙げています。

1)「5分間の貢献」

ちょっとした貢献でいいので、積み重ねる習慣をつけること

人を紹介する、
人の目に見えにくい仕事をしている人を認める、

そのような「5分間でできる程度の貢献」でいいので、積極的にやるよう促すこと

2)リクエストを促す

組織内の多くの協力関係の75~90%は、「リクエスト」がトリガーになっているそうです。

リクエストをして助けてもらうこともを組織内で促す
これにより、Giverは自分も他人の助けを受ける立場になってもいいと認識し、協力の相互関係の輪が広がるのです。

3)Takerを排除する

「腐ったりんご1つで、全体をダメにする」
同様に、チームに一人でもTakerがいると、組織の半数を占めるMatcherが猜疑的になりTakerに転じ始める・・・

協力関係が生まれないのは、安易に想像できます。

視点を今の私たちの環境に戻しましょう。

企業の組織やチームであれば、Giverに周囲に「リクエスト」をしてみることを促したり、Takerを排除したりすることもできます。
でも、世界を組織の全体と捉えた時、いったいどうやってGiverを増やし、Takerを排除すればいいのでしょうか。

私の作戦は、こうです。

【圧倒的に】Giverを増やす!!

私に今できることは、自分が関わることのできる人たちにとって、Giverになることだと思います。

ただ、それだけでは、ちょっと普通かな・・・
COVID-19と戦っているぞ~という、特別感にやや欠ける・・・笑

そこで、作戦のポイントは2つ。

1)普段より関わる人を【むしろ】増やす

ネットで知った人、ご無沙汰している人、友達の友達など、敢えてつながりをたどって、新しい接点を持つ。
そして、協力できることはないか、探す。

2)私がリクエストする

いち早く、相手にGiverになってもらうのです。
人に貢献できる喜びや、自己効力感は、人を強く理性的にします。

感染が広がり始めたころ、「感染しないようXXXしてください」といったメッセージ発信が多かったように思います。

途中で、「人にうつさないよう、XXXしてください」というメッセージに変わりました。

このメッセージの転換は、少なくとも私の判断基準を変えました。
「できればお会いしたい」とお客様に言われた時、「自分がうつる」より「うつすかもしれない」と考える方が行動抑制力がありました。
仮にそれが、ビジネスチャンスを逃すリスクがあっても。

人は、自分のためだけに頑張ったり、我慢したりするよりも、人のためである方がより理性的に行動選択するものだと、改めて感じました。

そして、リクエストに応えてくれたら、「ありがとう」。
応えてもらえなくても、リクエストをさせてくれて、「ありがとう」。
心からの感謝を伝えたいです。

【圧倒的に】Giverを増やす!!

これが、ハラリ氏の記事を読んで、私なりに考えた結論です。

もしも自分の周りが圧倒的にGiverさんばかりになったら、仮にTakerさんが混じってきても居心地悪くていなくなるんじゃないかな。
そんな期待をしています。

皆さんも一緒に、Giverを増やしませんか?

※TED

Are you a giver or taker?
Adam Grant

今週も素敵な一週間を~🌸